2022年12月に日本においてStep5文書として更新された「臨床試験の一般指針」(ICH E8R1ガイドライン)によれば、以下のように定義されています。

「本文書では、臨床試験における質を、目的への適合性と考える。臨床試験の目的は、参加者を保護しながら、リサーチクエスチョンに答えるために、信頼できる情報を生成し、意思決定を支援することである。したがって、生成される情報の質は適切な意思決定を支援するのに十分であるべきである。」

「臨床試験のクオリティ・バイ・デザインとは、試験の質を試験実施計画書及び手順にデザインすることにより、試験の質の積極的な向上を確実にすることを目指すものである。」

「これには、試験実施計画書及び手順 のデザインの質を、存在するリスクに釣り合うように向上させるための、前向きで多くの専門分野にわたるアプローチの使用とそれがどのように達成されるかの明確なコミュニケーションが含まれる。」

(いずれも同ガイドライン「2.2臨床試験のデザイン、計画、実施、解析及び報告への科学的なアプローチ」より抜粋)

また、クオリティ・バイ・デザインの実施の方法としては以下のように記載されています。

「3. 臨床試験における質の設計 臨床試験に対するクオリティ・バイ・デザインの方法(3.1 項)は、参加者の権利、安全性及び福利の保護、信頼性の高い意味のある結果を得るための質に関する重要な要因(critical to quality factors;以下「CTQ 要因」) に焦点を当てることと、リスクに応じたアプローチによりそれら要因に対するリスク管理を行うことを含む (3.2 項)。このアプローチは、試験のデザイン及び計画時から、その実施、解析、報告全体を通して、CTQ 要因の特定と評価のための適切な枠組みの確立により維持される(3.3 項)。」

以上に基づき、本研究では、データの信頼性確保と被験者の保護を念頭に置き、試験の科学的/倫理的なデザインと平行して、研究計画を作成する各プロセスにおいて、研究プロジェクトのステークホルダー間での対話を通じてCTQ要因を特定し、試験のゴールを見据えた最適なデザインの方法について、簡便にわかりやすくするためのプロセスと成果物の明示を目指しました。